こるりと慶應通信

慶應通信文学部第3類 2015年秋 学士入学 勉強の記録

会話の含意

毎日少しずつEスク英語学を見ています。
昨日はジブリの英語字幕の話がとても面白かったです。

Eスクは「世界の英語と社会言語学」というテキストを使っていて、異なる文化背景の英語話者のすれ違いがたくさん紹介されているのですが、先日会社で、ネイティヴの日本人同士でもこれか…!と思うような例を発見しました。
うちは小さい会社なので、わたしの隣の席の人は、本業は別にありますが、社内のシステム担当も兼ねています。
だから、よく色々な人が助けを求めにくるのですが、やりとりがいつも噛み合っていないのです。

例えば、全社共通のサーバーに不具合があって動作が遅い時。

1:困ってる社員「あのー、○○さん、今日サーバー遅くないですか?」
2:システム担当「そうですかー?わたしのパソコンからは遅くないですよ」
3:困ってる社員「あ……えっと、一応見てもらえますか?」

なんか変な感じ、伝わるでしょうか。

社会言語学的に説明を試みると、1の質問は本当は質問ではなく、間接的に依頼という行為を遂行したいんですね。
最初から、「サーバー遅いから対応してください」という会話の含意が既にある。
でも、直接的に指示するのは、相手の独立の面子を脅かすので、間接的なポライトネス表現の質問になっている。自発的に「遅いですか?直しますね」というチャンスを相手に与えているわけです。

ところが、システム担当はこれを本当に質問だと受け止め、2で普通に回答してしまった。 
2の人は普段あんまりサーバーにアクセスしないので、不具合があっても自分ではわからないのです。

こんな感じなので、2の人は「頼んでもなかなかやってくれない人」と思われています。
本人は、頼まれたらすぐやっているつもりなんでしょうけど、「頼まれた」のタイミングがずれてるんですよね…

まあ、1の人も、社内の対等な社員なのに、気を使いすぎな気もします。
優しい人が増えたから、逆に「空気読めない人」も増えたのかな……

言語学、最初はとっつきにくかったけど意外と身近で、いちいち当てはめて考えてしまいます。
この人の会話を観察し続けたら卒論が書けたりして笑