こるりと慶應通信

慶應通信文学部第3類 2015年秋 学士入学 勉強の記録

<新・西洋史概説I>漫画でわかるカノッサの屈辱

新・西洋史概説Iのテキストを読んでいます。

これが背表紙の厚さ約2cmという大作で、なかなか進まないのですが、結構おもしろいです。
単純に時系列ではなく、各章ごとにテーマがあって、最初のページに1パラグラフで内容がまとめてあるので、はいっていきやすい。
レポートもこうやって始めたらいいんだろうな、と思います。
ただ、難しいところもあるので、愛する漫画の力も借りています、というお話。

大学受験は日本史を選択したので、世界史は高校でちょっとやったか?くらいの記憶です。
テキストは、ある程度の知識があることを前提に書かれているので、神聖ローマ帝国がドイツの前身とかは常識すぎて説明もしてくれません。

そして、西洋の中世というものが、自分から遠すぎて、なんだかよくわからない。
都市が王権の一部を私物化、とさらりと書かれても、王権という目に見えないものをどうやって私物化するんだ……具体的にはどうしたんだ……と悶々。
破門って実際されたらどれくらい困るのか? 海をまたいだ土地が自分のものってどうやって主張したのか? がんばって政略結婚したのにどうして肉親と殺しあうのか?

ジパングの現代人に体感としてわかるわけないので、流れとして骨子をつかめばいいのでしょうが、どうしても気になってしまいます。
「読み書きが発達していなかったので、子どもを村の境界に連れていき、殴って位置を覚えさせた」とテキストに書いてありました。
え……殴って? 体に覚えさせる的な?だめだ、遠すぎる……

そこで、引っ張り出してきたのが大好きな漫画「チェーザレ」。
絵がとっても綺麗なのですが、なんと表紙は文字だけなので、特集本を貼っておきます。 

チェーザレ・ボルジアを知っていますか?

チェーザレ・ボルジアを知っていますか?

 

大聖堂のカラーとか、街の絵とか、ほんとうに美しいのですよ。
ルネサンス期に、スペイン出身の枢機卿(のちに教皇)の息子として生まれ、聖職者として教育を受けるものの、還俗してイタリア統一の野心を胸に武将となるチェーザレ・ボルジアの生涯を描いた漫画です。
塩野七生の小説も有名ですね。
漫画は11巻まで出ているのですが、チェーザレはまだ大学を出たばかり。チェーザレの考え方・思想の形成過程がじっくり描かれています。

そのなかで、叙任権闘争についてチェーザレが語る巻があり(7巻)、ほぼ1冊を使って、カノッサの屈辱の歴史的意義について、テキストのような議論がされているのです。
初めて読んだときは、ふーん、という感じだったのですが、テキストを読んでから見返すとすごくよくわかるし、漫画でここまでわかりやすく再現するとは……と感動。

それ以外にも、ローマ人の末裔としての自覚、教皇派か皇帝派か、異教徒や異端、権力と財政(税金)、など当時の人々の目線で描かれてい身近に感じられます。
フィクションなのですべてを鵜呑みにはできませんが、「チェーザレ」は大学の先生も監修についていて、参考文献もたくさん(イタリア語のものまで)載っているんです。

(だから、テキストを放り出してチェーザレを読み返したわたしは間違ってないんだ……)

ここからがおもしろいところなので、ぜひ長く続いて完結してほしい漫画です。
チェーザレのおかげでモチベーションも上がったので、半月しかないですがなんとかレポート提出までこぎつけたいと思います。


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